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2024.02.16 自筆証書遺言制度と保管制度

(1)自筆証書遺言制度について

2020年7月に遺言書保管制度が開始され、これにより自筆証書遺言書の種類が3種となっています。                                          ①従来からの制度で、自筆により遺言の全文、日付、押印された自筆証書遺言(民法968条1項)                                                               ②自筆により遺言の文書を記入し、財産目録をパソコン等の電子機器を使用し作成したものや、通帳・不動産登記簿等のコピ-を貼付した自筆証書遺言(民法968条2項)                                                              ③遺言書保管法の施行による法務局に保管された自筆証書遺言(遺言書保管法1条)

①②による自筆証書遺言は、自宅や貸金庫で長期にわたって保管されている間に、紛失廃棄のほか隠匿改ざんなどが行われる可能性があり、相続人間で紛争を生ずる恐れがありました。また、全文、日付氏名を自書して押印の要件を満たさず無効となる事例もありました。③の遺言書保管法の自筆証書遺言は法務局で保管されるため紛失改ざん等の心配は無く、公正証書遺言と同じように、家庭裁判所の検認手続きが不要となっています。

(2)自筆証書遺言の保管制度について

 遺言書の保管申請にあっては、①遺言書②申請書とともに住民票の写し(窓口での原本で作成後3カ月以内)と本人確認書類が必要となります。手数料に関しては、3,900円を収入印紙を貼付することで納めることとなります。

 注意点として、この申請に際し、法務局で自筆証書遺言の要件(民法968条)を確認するため、遺言が要件違反で無効になることを防ぐ効果があるものの、遺言の内容についてまでは確認しないため、記載内容が不明確で遺言執行に支障が生じる可能性が残る点が、公正証書遺言の作成時と異なることとなります。

 遺言書保管手続きが完了されると、法務局から保管証が交付されるため、将来の相続人となる方に預けることで、遺言の存在と、どの法務局に預けられているかが明確になります。

 なお、遺言書は法務局において、遺言者の死亡日(死亡不明の場合には120歳まで)から50年間(遺言データは150年間)保管されることとなります。