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2022.01.30 贈与の場合の取得時期について

 贈与とは、民法549条において、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受託をすることによって、その効力を生ずる、という諾成契約(当事者の合意により成立する契約)となります。なお、いつ贈与がなされたかの時期については、相続税法基本通達において、書面によるものについては、その契約の効力の発生した時となり、書面によらないものについては、その履行の時と定めています。つまり、書面で作成された贈与契約書には、財産を渡す側(贈与者)、もらう側(受贈者)ともに理解して署名を行うため契約効力発生時期に贈与となるのです。

 ところで、従来より①ご家族の間において親が子の名義で預金通帳を作成したり、②親の財産の名義変更を行ったり、③時価で親族の財産の移転を行うケースが見受けられます。①親が子の名義での預金等については、受贈者の意思表示がありませんので名義財産として、財産移転は無い状況となりますが、②名義変更については、銀行、証券会社などは本人確認手続き、法務局においては贈与契約書等の提出が必要となるため贈与者、受贈者の意思確認ができる場合には名義変更時の年分の贈与となります。③時価で親族の財産移転を行った場合には、基本は所得税における譲渡所得として取り扱われますが、対価が時価よりも低い場合や、高い場合も贈与として認定されるケースがありますので、注意が必要となります。