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2022.06.20 家族信託の活用のすすめ

⑴家族信託のしくみ                                                                                  家族信託は財産を持っている人(委託者)が信託契約をしたり、遺言をしたりする方法によって信頼できる家族(受託者)にその財産(信託財産)の名義や管理・処分権を移転させて、その信託財産を運用、管理、処分してもらうことによって得られる利益を受益者に与えるしくみとなります。なお、委託者は信託契約により、受益者を自由に決めることが出来ます。

⑵自益信託(委託者が受益者の場合)                                                                                                       委託者は、信頼できる家族(受託者)と信託契約を締結することから開始されます。契約が成立すればそれに基づき、委託者の信託財産の名義が全て受託者に変更され、現金や商品など、名義移転不可能なものを除き、権利の移転等の登記を行うことになります。

⑶家族信託における税務                                                                                                家族信託に関する税務には、①信託設定時の税務②信託期間中の税務③信託期間満了時における税務に注意が必要となります。

⑷信託設定時の税務                                                                       所有権の移転は、通常では譲渡所得や贈与の問題が発生しますが、信託における所有権移転は、信託を目的とした形式的移転とみなされ課税関係は発生しません。ただし、受託者は信託の計算書を毎年税務署に、翌年1月31日までに提出する必要があります。あと、土地等の所有権移転に伴う登録免許税や不動産取得税も非課税となりますが、信託登記に関しては、土地等の評価額に0.3%の登録免許税がかかります。

⑸信託期間中の税務                                                                                                            自益信託の場合には、信託期間中は、信託財産に帰属する全ての収入・費用は受益者が直接行う事業として不動産所得として確定申告することになります。

⑹信託終了時の税務                                                                            信託契約の期間が終了すると、委託者は受託者から信託財産の返還をうけますが、信託契約締結時と同様に、譲渡や贈与の問題は発生しません。

⑺家族信託が使用されるケース                                                                  信託は委託者が本人自身の財産を受託者に移すことにより、その財産の管理運用を託す制度なので、委託者に管理能力が失われるような場合(成年後見制度など)には有用な方法となります。